【実話】アタシの値段~a period~
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一人になった部屋
携帯の音で我に返る。
左目からは
涙が流れていた。
それを拭うと共に
込み上げてくる吐き気。
硝子テーブルに弾かれて
うるさく鳴り響くバイブに急いで手を伸ばす。
うまい言い訳など
思い付かない。
これ以上
隠し通すことはできない。
急激に動き出す心臓。
俺は
ユキに全てを明かすつもりで
携帯を手に取った。
けれど
携帯の画面に浮かんだ名前は
ユキではなく
意外な…
…いや、意外でもないか…
わざわざ
このタイミングで着信を鳴らすような奴
他には居ない。
浩介だった。