【実話】アタシの値段~a period~
アタシの質問を期に
静まりかえった部屋の中。
浩介が遠くへ行ってしまう、そんな聞きたくなかった話しと
今日は、少し様子がおかしいその目を見ていると
瞬きの仕方さえ、いつもとは違って見えて
アタシは今にも
震えだしそうなほど 不安になった。
行かないで、そんなこと言えないことくらい分かってる。
言ったって、浩介を困らせるだけ。
浩介は どうしたって、行ってしまうんだと
頭で理解すればするほど
それは現実身を帯びて。
笑って、頑張ってね、って言わなきゃいけないのに。
笑顔を作ることさえしてあげられずに
アタシは何も話せなくなった。
ごめんね、浩介
浩介はいつだってアタシの背中を押してくれていたのに
アタシは押してあげられない…
アタシはやっぱり 自分の事ばかりで。
こんな風だから
いつも独りになっちゃうんだね、きっと…
人が二人も居るとは思えない、静かな部屋。
普段は気にもならない冷蔵庫の機械音に
少しだけ救われるような気さえした。