【実話】アタシの値段~a period~
「だけど、幸せになれないなら…ほっとけねぇ。」
浩介の声はいつだって
鼓膜に響く。
浩介の言葉にはいつだって
理由があるから。
だけど今日ばかりは、その心の中が分からない。
『幸せになれないなら…?』
滲んだ視界で、浩介の真意を読み取ろうと顔をあげて。
しっかりとアタシの目を見据える
その瞳の奥を 目を細めて覗き込む。
「何だよお前、その目」
フッと小さく噴出す浩介は
続けて
「お前、さっきから俺の話し聞いてた?」
と、まるでアタシが困らせているかのように。
今日、浩介が言った言葉を
ひとつひとつ
順を追って思い返す。