【実話】アタシの値段~a period~
うーん…
心の中で唸りながら
頭をフル回転しても
『よくわかんない…』
そうか、と小さく言った浩介は答えを教えてくれないままに
「お前は、あいつと居ても幸せにはなれねぇよ。」
普段ならこんなこと言わないのに。
やっぱり、どこかおかしい。
だけど、浩介の言葉にはいつだって理由がある。
なにかあったに違いない…そう確信していた。
『それ言ったの、今日二回目だね…」
「それは覚えてるんだな」
独り言のように呟いた浩介は
一瞬そらした視線を戻す。
「あいつは、多分、悪い奴じゃない。
けど、あいつは弱すぎる。
お前の人生まで背負って生きていくなんて
どうやったって、あいつにはできない。」
『なんで突然そんなこと言い出すの…?
浩介、何か知ってるの?』
きっとそう。
浩介は何か、アタシが知らないことを知っている。
「あ…いや、お前より長く人間やってるからな…」
おかしい。
いつもなら浩介はもっと上手く嘘をつく。
あきらかにどうようしている浩介は
アタシから離れソファに戻り
煙草に火をつける。