【実話】アタシの値段~a period~
そんなわけない。
そんなわけないよね……。
振り返ったアタシの目が見たのは
いつもみたいに強気じゃない目。
「お前を困らせたいわけじゃねぇんだけどな」
と、自分の方が
よほど困った顔をして。
…知りたくない。
″アタシの前から居なくなるような予感″
…あぁ、こういうことだったんだ。
何も気づかない振りをして
珈琲を手渡して
『なんかよく分かんないけど、疲れてるんじゃない?』
そう言って
カップの珈琲がなくなる頃
半ば無理やり浩介を帰した。
きっと違う、勘違いに決まってる。
だってそうじゃないと
アタシはきっと
永遠に 浩介を
失うことになる。