【実話】アタシの値段~a period~
いつから、そんなことを考えるようになったのか。
ユキがあのアパートに住み始めた頃には、
きっと。もうすでに。
″恋愛感情はない″
そんな俺の最大の嘘を隠して
アイツの嘘を責めていた。
もしも、真実を全て話してしまえば
ユキからアイツを引き離すことができたのだろうか。
それでも俺は
あの日 お前が言ったように
傷つけることが
失うことよりも怖かった。
けれどそれは
優しさだとか、そんな上等なものではなく
お前とアイツみたいに
傷つけ合っても
すがり合えるような
手を伸ばしていられるほどの想いが
俺とお前の間にはないことを
知っていたからかもしれない。