【実話】アタシの値段~a period~
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まだ、たったの18歳。
ふと、そんなことを思い出したのは
もう、10時間ほどは眠り続けている
ユキの寝顔を眺めていた時だった。
あれから、新しいマンションに帰ってすぐ
疲れた、と言って
飯も食わず、先に届いていたベッドに潜り込み
引っ越し業者のダンボールに囲まれて
寝息を立て始めたユキ。
‥‥何日も、眠れていなかったのだろうか。
よく見れば
また、少し痩せた気がする。
ユキを起こさないように
静かに部屋のドアを閉めた俺は
リビングに散乱する数個のダンボールを見て
ついついため息をこぼしていた。
一つめのダンボールを開く。
「‥これじゃねぇ。」
二つめ‥
「違ったか‥。」
三つめ‥
「おっ、あった。」
‥ガチャ。
『浩介‥なに一人で喋ってんの?』
よたよた、と
目をこすりながら起きてきたユキが
『今なんじ?』
と、キョロキョロ部屋の中を見渡した。
「あー‥、時計も買わなきゃな。
つか、お前、携帯は?」
『んー、バッテリー落ち。』
なんて言っていたけど
おそらく、あえて電源を
切っているのだろうと思った。
「朝の8時だ。」
自分の携帯をパチンと閉じながら伝えると
『超‥‥朝だね‥。』
ユキは
まだ、ボーッとしながら
すとん、と
俺が向こうの家から持ってきたソファに座った。
そう、新しいマンションの
部屋が余っているから
とりあえず、と
ユキをこのマンションの一室に住ませることにした。
別のアパートを借りる、
と言い張ったユキを
半ば強引に言いくるめて。
下心、だとか
そんな考えからではない。
決してない。
いや、ゼロと言えば
嘘になるだろうけど
今の状態で一人にするのは
心配だった。
それが大半。