【実話】アタシの値段~a period~
「俺、会社行くから、ちゃんと飯食えよ?」
さっき、コンビニで買ってきた食料を冷蔵庫にしまい
たった今、ダンボールの中から発掘した
珈琲メーカーとカップを
キッチンとリビングの間にある
カウンターに置いた。
これがなければ
ユキの生活は成り立たない。
『何時に帰ってくる?』
ユキはぼーっと、まだカーテンのない窓を見つめながら。
「7時には帰るようにするから、晩飯は外で食おうか。」
『眩しい‥。』
話しを聞いているのか、いないのか。
窓から差し込む日光に眉を寄せながら
そのままズルッと体制を崩すようにソファに横になったユキは
また、静かに寝息を立て始めた。
‥やたらよく寝るな。
体調でも悪いのか、と
ユキの額にそっと手を当てる。
「‥熱はないな。」
薄手の毛布を一枚、ユキにかけて
俺は職場へと向かった。