【実話】アタシの値段~a period~
「隆志くんだよ‥分かるだろ?」
首をかしげながら
『アンタの友達なんて会ったことないじゃん。』
と、どうでもよさそうに
煙草の煙を吐いた。
「お前‥‥‥。」
‥‥こんなことって。
不思議そうにユキが俺の目を見る。
『アンタどうした‥‥‥
え‥
あ‥隆志‥。』
‥思い出したのか。
不安を残しつつも
とりあえずはホッとして
「飯食わねぇから、脳ミソに栄養行ってねぇんだよ。」
と笑うと、
不安そうな目をしながら
『だね、着替えてくるよ‥。』
とユキが部屋に入って行った。
割れたカップを拾い上げながら考える。
‥おかしい。
どう考えても、言動が。
そういえば、さきほど
このカップを割った記憶もないと言っていた。
床に散ったコーヒーを雑巾で拭いて
それをそのままキッチンのゴミ箱に入れようとする俺の手が
自然と止まった。
ゴミ箱の中には、ユキのさがしもの。
アイツと同じ銘柄の煙草が
バラバラにちぎられて
捨てられていた。