【実話】アタシの値段~a period~
浩介の新しい事務所とやらの場所は
休日出勤の社員らしき若い女が
意外とあっさり教えてくれた。
それもそう、
休日だというのに
怪しさを消すために
俺はわざわざ、スーツを着て
浩介の会社を訪ねていた。
浩介の、会社の名前は知らなかった。
それなのに、俺が一発で何階のオフィスかを
当てることができたのは
そのビルに、横文字の社名が一社しかなかったからだ。
しかも、その社名が
″WONS″
ウォンズ。
逆から読めば
″SNOW″
スノー。
雪。
ユキ。
そんな、バカなことをするような男には
到底、思えないが
ただの深読みとは
思えないほど
できすぎたネーミングだった。