【実話】アタシの値段~a period~
「眩し‥」
運転する俺の視界を遮る光は
道路に沿って続く、海の水面の反射だった。
たった、一度だけ
来たことのある場所。
県境にあるこの景色を見ながら
泣いていた、
あの日、俺は
喪服を纏ったまま
失意の底で
夜の海に沈みかけた。
トオルが怒っていた。
びしょ濡れで
泣きながら。
星が綺麗だった。
手が届きそうな気がした。
あの日の記憶はそれくらいしかない。