【実話】アタシの値段~a period~
スウェット姿のまま
鍵だけを持って部屋を飛び出したのは
今日、2回目。
俺は、車を跳ばしてケーキ屋を探した。
けれど、深夜に開いているケーキ屋など
あるはずもないことに気付いたのは
2件目に向かったケーキ屋の前に着いた時だった。
何も考えずに飛び出してきたが
ここまで来たら
もう、意地になっていたかも知れない。
だってケーキ一つない誕生日を
迎えさせるわけにはいかないんだ。
じゃないと――…
じゃないと…
アイツは報われない。
アイツはいつだって
ユキの幸せを願っていたのだから―…。
そう思うと
もう、どうにも止まらなかった。