【実話】アタシの値段~a period~
部屋に帰ると、ベッドの上で小さく丸くなったユキが眠っていた。
思わず、ほっと笑みが零れる。
なかなか起きないユキを無理やり起こすと、
寝ぼけるユキが、過去とシンクロする。
このベッドで、同じように寝ぼけて居た、違う人を思い出す。
痛む胸を、上からこぶしで押さえる。
…――――――!?
のそのそと身体を起こしたユキ。
俺はハッとした。
ユキは、下着姿だった。
俺は慌てて目を伏せて、床に脱ぎ捨てられたスウェットの上着を差し出す。
…そもそも、できればズボンも履いてほしいのだが。
さっきユキが、上着だけを着て風呂場から出て来た時から
俺は、彼女から一定の距離をとっていた。
俺も男なんだ。
間違いが起きてからでは遅い。
そう、そうなれば、それは本当に間違いでしかなく、
俺は罪悪感に押し潰されてしまうだろう。