風のようなキミ
唯に会ったのは3ヶ月前、
高校の入学式―。
ガヤガヤガヤ
「さすがに人多いね〜」
と笑う私に、
「カッコいい人いないかなぁ。……あっ。」
「なに〜?どうしたの杏。」
「ほらっ。あの人だよ!やばっ超背高くない?」
「ああ〜ほんとだねー。」
たいして興味の無かった私は気にもしてなかった。
だけど一瞬で間違いだったことに気づく。
「ねねっねぇ!こっちくるよ〜!どうしよっ。ねぇってばあ〜……えっ美月!?」
―――驚いた。背が高いからとかじゃなくって、なんか…綺麗としかいいようがなかったからだ。
そいつはくしゃっと目じりを下げて女の子みたいに、
「ねえねえっ。何組なの?俺の中学からここの高校誰も受けてないんだよね。一緒に教室行こ〜?」
「あっうん!もちろん。」
びっくりしたように笑いながら言う杏と違って、私は反応が遅れた。
見ためは背が高く、切れ長な目ですごく男らしいのに、声代わりのしていないような高い、甘い声とのギャップで、不覚にも
"恋"に落ちてしまった。