風のようなキミ
「ほら。みっちゃん。」
なんて余裕で言って、右手を私にむかって差し出してくる唯。
嬉しくて、けど悔しくて、恥ずかしいような気持ちで手を握れないでいると…
強引に引っ張られた。
その瞬間手をーーギュッと握られ、驚いていると
「わっ。なにこれ?冷たすぎだよー。」
目をまん丸にさせながら、私の手をとり、フーフーと息をかける。
手袋も何もしていないんだから、しょうがないじゃない。というか、そもそも冷え性な私に温かさを求められても困る。
真っ白で生ぬるいその空気に私の指が溶かされ始めた時、ついほだされてしまった私に気づき、
「な、な、なによ。唯に関係ないでしょ。勝手に手なんか握らないでっ。」
そう言いながらも、バシッと手を振り払う事が出来ないのは惚れた弱みというやつかもしれない。