君が君を好きになって。2

「え…じゃあ自由曲誰やんの?」

ざわついた教室。
白羽は、だれにも気付かれないようにそっと、

碧を見た。



彼は、何の関心も無さげに黙々と単語帳学習を進めている。

碧がふぅ、と一息ついて視線をあげた時、白羽と目が合った。

その視線に碧が慌てて黒板を見る。

「…俺やんないから」

「何で」

「何でも。絶っ対、嫌」

「ふーん…──、そ」

「何だよ…気持ち悪いじゃん男二人で伴奏って」

白羽が固まる。

「は?え、伴奏自体は嫌じゃない訳?」

「嫌じゃないけど…俺ほら、伴奏向いてないし」

「そんなこと…っ!」

白羽の声が大きくなる。

しん。



教室中が二人に注目した。


「…俺補欠ならやってもいーよ」

「──…」

碧は白羽に呆れを混ぜた視線を送る。

「えー、綿貫ってピアノ弾けるの?」

「弾けないよ」

「弾けるよ」


「どっちー」

「上手じゃないよ」

「別にまぁ気合いなんて入ってないし!」

「まーね」

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