君が君を好きになって。2
放課後、
「…あお」
碧は黒板に残った文字を指でのばしていた。
振り返る。
「あれ、どした?」
「補欠も、無いと思ってたから」
「あー、伴奏ね」
碧の手に持った黒板消しが文字を消して行く。
「練習してたの?」
「まさか。まさかが起きたらぶっつけでいいかな、なんて」
「…そ」
「だってお前が弾けるもん」
白羽が碧の手を黒板消しごと黒板に叩き付ける。
細かい粉が、舞う。
「何す…──っ」
碧が咳き込んで、しゃがみこむ。
「俺にはあおが判んない」
「…何…」
「何考えてるの?ピアノに対して…とか」
「とか…?」
碧が上を見る。
白羽がしゃがみこんだ。
「小玲のこととか」
「…え?」
「昼間のアレ。何したの」
「何もしてないよ」
「嘘。小玲可哀想だった」
「しろには関係ないじゃん」
碧の手が黒板消しを掴み、投げる。