君が君を好きになって。2
「入ろっか」
「あ、お邪魔します」
「どうぞ」
白羽が扉を開けて入ってから、自分で扉を押さえて小さく踏み入れる。
「聞かないの?」
弁当を広げ終わった時、白羽が菜束に笑って聞いた。
「え?」
「綿貫は?って」
カシャン。
答えようとして菜束は箸を落としてしまう。
確かに気になっていたけれど、あえてスルーをしていたのに。
「え、わわ」
あわてて屈み込んだ菜束に白羽が言った。
「職員室に行ったよ」
「職員…室?」
「うん。進路がどうのーって」
菜束は頷いてからまた慌てた。
やっぱり知りたかったんだ、自分。
「…で、どうなの?あおとはあの後、何か進展は?」
「え?ううん、何も?ただ友情を深めあっただけというか…」
「何、彼奴鈍感?」
「違くて…私がハッキリしないだけだよ。じゃあ箸洗ってくるね」
パタン。
急ぐように菜束が扉を閉める。
一人残った白羽は、
「中々痒い恋愛を見せてくれそうだなぁ」
と笑った。