君が君を好きになって。2
「も…もしもし」
『白羽君?久しぶり』
「お久しぶりです…」
『久々に、君のピアノが聴きたいんだが』
「え、はい」
──今から、家に来ないか?
嬉しい。嬉しいんだけど、翠の家は碧の家。
「会ったら嫌だな…」
碧の父親、翠は、有名な作曲家であり、演奏家であり、白羽のピアノの恩師でもある。
懐かしさに、胸が踊った。
ピンポ───ン。
ドアが開くと、出てきたのは翠だった。
「お邪魔します」
翠は、碧とは性格が180度違う。
碧は、母親とも性格は違う。
物静かで、厳しくて、笑顔なんて見せたりしない。
でも何処か、人を惹き付ける。
其処だけは碧も受け継いでいる感じではある。