君が君を好きになって。2
「音楽科来るの?」
ちょっとストレート過ぎたかも知れない。
碧の顔がこわばったのが判った。
「みたいだね」
碧が背を曲げて咳をする。
「風邪移る…」
碧が立ち上がろうとした。
その手を掴んで引き留めた。
まだ熱い。
「良いよ、移しても」
すると碧は、
「何言ってんの。気持ち悪い」
と言って笑った。
「泣いたらしいじゃん」
「な…泣きましたけど何か」
「別に?明日の話題が出来たな、と」
「うん」
不思議と碧は頷いただけだった。
まだ少し、お互い許した訳じゃないから。だろうか。
やはり謝った方が良いのか。
と思ったところで翠が戻ってくる。
「じゃあ、僕練習してます」
白羽が立ち上がる。
碧はそれを見上げてから、目の前に置かれたカップに手を掛けた。