君が君を好きになって。2
premier
そして、10/25。
「小玲」
校門前、7:56。
「…綿貫?」
菜束の腰が引ける。
「何で逃げようとすんの…」
「…違…」
「何も言ってくれないの?俺何かした?」
菜束が強く首を横に振る。
「事情があるんでしょ?」
菜束が一瞬迷った。
碧が首に手を置いて、そのまま傾ける。
「そうだって、受け取るよ?いい?」
──何で優しいの。
何も知らなくて、こんなに避けられても頷いてくれるのは、何故なんだろう。
小さく菜束が頷いたのを確認すると、碧は笑顔になった。
──あんまり見たら、離れられなくなる…
「了解。お昼は食べに来なよ、俺今日早退するから」
碧は菜束を残して、校舎へ入って行った。