君が君を好きになって。2

傷使い


「いやー、諸君久しいなっ」

お昼休み。
宮下遙は一つ上の先輩とは思えない自由な人だった。

「いや、久しいっていうか生きてたんだーっていう感動?」

「確かに…」

「寂しかっただろ!死にそうだった?」

「いや別に」


莉桜の冷たい返答にも笑顔で頷いていた。だからこそ莉桜たちも毒付くことが出来るのだろうけれど。

「これは何ちゃん?碧の彼女だっけ?」

「え、そんな滅相もないんですけど、…小玲です。小玲菜束です」

「あれ?彼女違う?」

莉桜が遙を殴って、菜束に笑いかけた。菜束は首を傾げながら頷き返す。

「ごめんごめん、菜束ちゃんね、ハイハイっ」

「本当何なのあんた、帰ってこなくて良かったんだけどー」

「そんな莉桜ちゃん…、楽しく行こうよ、ね」

菜束の言葉に五回程頷いて莉桜は弁当を抱え込んだ。

「そういや綿貫何で今日早退なの?芹沢知ってる?」

白羽がきょとんとして菜束を見る。
──え、何?

「え?早退してないでしょ?」

「は?何が?だって菜束に早引けって言ったんでしょ?」

「う、うん…」

白羽の作った少しの沈黙。
莉桜が菜束を見てから呆れた声を出す。

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