君が君を好きになって。2
湿布の秋
「やーっほー」
「莉桜遅い」
「あ、小玲さんだ。初めまして」
菜束が会釈をすると、律儀、とのけぞって笑う。
いい人にしか見えないじゃないか 。
──憶測でものを言っちゃ駄目だなぁ
「菜束ちゃんだよね、私莉桜だよ。あ、知ってるか」
「うん、宜しくね」
初対面で敬語を使わなかったのは、初めてかも知れない。
そこからは、楽しくお昼休みを過ごすことが出来、菜束は殆んど莉桜と話しており、碧はご飯中は静かな性質のようだった。
「じゃあねー」
「う、あの、誘ってくれてありがとう」
「いーえ」
「楽しかった、です」
三人は顔を見合わせて、莉桜と白羽が碧の背中を押した。
碧が一歩前に出る。
「明日も来て!」
菜束は嬉しくて、嬉しくて、笑いだしそうだった。
「うん…」
菜束の気持ちが、走り出した。