君が君を好きになって。2
体育の時間のこと。
「バレーとか無理ー」
「面倒だね」
菜束は体育はあまりいまいち得意ではなく、言ってしまえば苦手分野だった。
「じゃあ各自サーブ練習」
サーブはさらに苦手だ。
「届かないから…」
タイミングが合わない。
バシッ
「痛」
「あはは、なっか駄目じゃーん!」
「もう無理だよ無理」
実際まわりもあまり届いてはいない。
「まぁ、大丈夫でしょ」
「うーん…」
その時、一際大きな音が響いた。
バレー部の子がサーブを打ったのだ。
飛ぶなー、なんて見ていたら。
「あ」
何故か球が曲がる。
「!っ」
菜束の足がそれの犠牲となってしまった。
「…菜束───っ」
「あははは、ドンくさ」
「殺人ボール…」
ネットの反対がわで本人が謝っているのに菜束は手を振って笑った。
「保健室行く?」
「え…いいよいいよ」
「でも行っときなよ!」
「う、うん…」