夜の女に恋をした
大きなA4サイズのノートにでっかい文字で走り書きされている一言たち。


これを見るとあの日々が脳裏に蘇る。


たこ焼きとお好み焼きを文句言われながら焼いたな・・とか。

本当は思い出しちゃいけないんじゃないかと思う。


香織ちゃんがあんなことになったってのもあるし、もう悠嘉は全く手の届かないところにいるから。

連絡先、そして所在が全くわからない。


あるのは俺の中にある悠嘉の笑顔、そしてあの声。




今日だけだ。


自分にそう言い聞かせながらこのノートを最初から最後まで読んだ。


たまにニヤけたりしてる自分が気持ち悪かったけど読むうちに悠嘉に会いたい気持ちがすごく大きくなった。

ふと考えた。


なんで俺は悠嘉をずっと一途に待ってられなかったんだろう。

悠嘉は俺のことを想ってずっと一途に頑張ってきたのに。

俺が香織ちゃんと付き合うことで悠嘉から逃げなければ香織ちゃんもあんなことにはならなかったのに。


やっぱり全て俺のせいだ。


また自分を責め始めたからノートをまた見始めた。


思い返すのは・・いい思い出だけにしよう。

そう思って。
< 111 / 113 >

この作品をシェア

pagetop