夜の女に恋をした
俺が恋した女の子はとても可愛くて、素直で、家庭的な一途な子だった。

女を見る目があるんじゃないかってくらいいい子だった。


悠嘉がなぜ北海道に帰ったのか、いや、俺のもとから去ったのかは俺にはわからない。

一途に待っていられなかった俺に呆れたのかもしれない。

あの事件を思い出してしまうからかもしれない。


きっと永久にわからないだろうな。

俺には連絡先も所在もわからないのだから。



でも綺麗な思い出だってたくさんもらった。

それでもう充分だ。


この九州、福岡の地でまた・・・・・




その時だった。

俺の携帯からピピピという音が聞こえたのは。


携帯を開くとそこには慎吾からメールの文字。

前は開くと悠嘉と2ショットの慎吾の姿があったっけ。


そう思いながらメールを開く。



驚いた。

そこには悠嘉と悠嘉に似た女の子と慎吾の3ショット。

目を見開いてよく見た。


”悠嘉ちゃんとキラリちゃん、東京のセクキャバで働いてるみてーだぞ。彼女、やっぱりお前をここで待つってさ。早く戻って来い。”



何度読んでも俺を待つという言葉。


俺には頑張らなきゃいけないことができたらしい。

前よりもっと出来る男になり、自信をつけて早く頑張って東京に戻らなくては。

あの笑顔を、そしてあの子を今度こそずっと手に入れるために。

俺の再出発はこの暑い九州の地で始まる。




──END──
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