夜の女に恋をした
それから悠嘉より先に風呂に入った。

悠嘉が来てからは湯船に溜まったお風呂に入れるようになった。

1人のときは面倒だからシャワーだけだったから。


先に入ってもいいと言うのに悠嘉は遠慮する。


・・・一緒に・・なんて考えてないから。

そんなことは・・。



「あ、真斗あがった?じゃあわたし入ってくるね。」


そう言ってバスタオルや下着だろう、何かを持って浴室へ歩いていった。

俺は冷蔵庫からビールをまた取り、テレビの前に座ってビールを開けた。



・・・・悶々してしまう。

しょうがないだろう。

好きな子が今1人でお風呂に入ってるんだ。

想像してしまうのだっておかしくはないだろう。

この後にああいう行為があるのならウキウキしてしまうけど、生殺しにまた遭うんだ。


そう、俺たちは1つのベッドに背中を合わせお互い逆を向いて寝ている。

悠嘉の方を向くと襲ってしまいそうだから。



それから40分程すると寝間着を着た悠嘉がこっちへ歩いてきた。


「あー、また飲んでる!しかも2本も!!」

そう言いながら悠嘉も冷蔵庫からビールを取り出した。


風呂上がりのビールはやっぱり女の子にも格別らしい。


「悠嘉、後ろの髪まだすっげー濡れてるよ。」


そう言って俺は隣に座った悠嘉の後ろの髪を寝間着にかけていたタオルでワシワシと拭いた。


「あれ?ドライヤーしたのにな。」


そう言いながら悠嘉はビールを飲み続ける。


悠嘉の子どもの頃が思い浮かぶよ。

親にいつも言われてたんだろうな。

そして、子どもの頃もきっと可愛かったんだろう。

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