夜の女に恋をした
それからというもの、なるべく悠嘉のことを考えないように過ごした。


慎吾とお互いフリーということで合コンに行ったり、職場の先輩や後輩や地元のツレとかとスノボに行ったりしていた。


冬はほとんど仕事、酒、スノボという形で過ぎていった。


よく考えると悠嘉と大切な思い出というものはあまりなかった気がする。

大切な場所とかそういうのがあると思うけど俺らはあの最初のデートで行った夜景と星空くらいだ。

それに救われたかもしれない。


そして暖かくなってきた眩しい春。


あれからもちろん連絡もない。

合鍵は悠嘉が持ったままだけど家に入った形跡は全くない。



そして日差しの強い夏。

そう、俺と悠嘉が出会って1年くらいだ。

このときくらい、考えてもいいよな。




夏のある日、職場の先輩にフェアリーに連れて行ってもらって一目惚れしたんだ。


真横に座ってきた綺麗な女の子。

キョウカと名乗って俺にキスしてきたっけな。

たわいない会話をしながらまた来るって指きりもしたな。


女に慣れてないわけでもないし、不自由してるわけでもないのに俺は彼女しか見えなくなったんだ。


フェアリーに通いまくり、名前を覚えてもらい、そして連絡先を交換したんだっけ。




今、いい思い出・・・辛い思い出・・どっちともとれるけどそれになってる。




そう、もう思い出になってる。

思い出にしたんだ。
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