夜の女に恋をした
夏も終わり、俺は24歳の誕生日を迎えた。


合コンで出会った女の子3人、そして慎吾や後輩の大谷に大谷の家で5人に祝ってもらった。

この女の子の中の長倉香織ちゃんという1こ下の女の子といい感じになってるらしい。

慎吾といえば、こいつは本命を見つけると言ったあれ以来、本当に彼女を作ってない。

遊び相手ならいっぱいいるみたいだけど・・・。



香織ちゃんは可愛いけど特別ってわけじゃない。普通だ。

背も155センチくらいで、太っても痩せてもない。普通。


でも中身は可愛らしくて、何に対しても一生懸命で小動物みたいに驚きやすくて、妄想癖があるらしくボーッとたまにしてるから放っておけない。


「10,9,8,7,6,5,4,3,2,1・・ハッピバースデートゥーユー♪♪」

カウントダウンで9月28日になった瞬間に俺のもとにケーキが薄暗い中運ばれてきて、歌を歌ってもらった。

フーッ。

ケーキの上にのっているロウソクの火を一気に消した後おめでとうと言ってくれるみんな。


「まじでありがとう。」

よく見ると”Happybirthday MAKOTO”と書いてあり、その書き方で手作りだと分かった。


「これ、香織と美咲とわたしで作ったんだよー!!」

そう言うのは背の高い元気な女の子の真帆ちゃん。

美咲ちゃんというのは背は160くらいでクールで口数が少ない。

そして後輩の大谷の彼女。


「ありがとう。嬉しいよ。」


そう言ってちょっとだけケーキをさわりペロッと舐めてみた。

甘い味が口の中に広がる。


「あー真斗くん行儀が悪いんだからっ!!じゃわたし切るね。」

香織ちゃんはそう言って立ち上がり、食事のときに使った包丁で器用に切っていた。



「ねぇ、真斗くん♪24歳の出発の日に彼女作ったりしないの??」


横からコソコソと真帆ちゃんが話しかける。

言いたいことは分かってるからあえてシカトしていた。
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