夜の女に恋をした
そして後ろから美咲ちゃんと一緒に香織ちゃんが人数分のケーキを持って来てくれた。

スポンジケーキの間にはフルーツがたくさん挟まれている。


「うまっ!!」

先に食べた大谷が声をあげた。


「ちょっと・・篤志・・。普通は真斗くんが最初でしょ!?」

彼女の美咲ちゃんが大谷に怒っている。

俺は全く気にしないのに。


「さっき塚本さん食べてたじゃん。それにそんな細かいこと気にしねーって!!」

そう言いながらパクパクと口の中に運んでもう残り少なくなっていた。

どうやら大谷は甘党らしい。


美咲ちゃんはもぅ。と言ってため息をつきながら俺に軽く謝り自分も食べ始めた。

こういうとき、出来た子だな、と思う。


そんな俺の横ではさっきからコソコソと声が聞こえている。

真帆ちゃんだ。

俺に「告れば??」とかずっと言ってるんだ。

おそらく香織ちゃんにも聞こえてるだろう・・・。


だいたい俺はまだ香織ちゃんのこと好き!!と言い切れるものじゃないし。

告白なんてまだまだ先の話だ。


そんなとき携帯がブルブルと震えた。


取り出してみると受信メールが5件きていた。


誰だと開くと実家にいる母親、高校の友達2人、会社の事務員の子、そして香織ちゃんからだった。

それに気付いて香織ちゃんを見ると目が合い、ニコッとされた。

俺もそれにつられて微笑み返す。



「なに見つめ合ってんすか??2人して・・・」


それに気付いた大谷がわざわざ口に出してきた。

てめぇ、心の中に閉まってろって感じだ。


「うるせーよ。黙ってろ。」


低い声で言って大谷を一蹴した。
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