昨日の空
気がつくと時間がたっていて3時過ぎだった、もうこんな時間。映子がふいに倫子に「送りましょうか?」と声をかけた、「ええいいんですか」「ついでだから」「近くですかお住まい」「ええそれほどここからは遠くないです」「じゃあ乗っていってください」「お願いします」倫子は店を出て映子の車に乗り込んだ、まるで裕子の幽霊が載っているみたいだった。「大丈夫?」「大丈夫です、少し気分が悪い、窓あけていいですか?」「どうぞ」窓を開けて少し風に当たると倫子の真っ青な顔は少しピンクがかったほほに戻った。「良かった」「どうしたものかと思った」「うん、気持ち悪かった本当にお酒弱いから」「そっか」「のめないのに無理に進めてごめんね」「いえ私も楽しかったから」真美は裕子を思い出してしまって少し涙ぐんでいた。
「本当に近いところに住んでいるね」「はい」そこは偶然にも真美のマンションの近くだった、「ここで同居人と一軒屋を借りて住んでいるんです」「へえ、一軒屋」「すごいね」「はい、大きいうちだけど古くて住み心地はあまり良くないかも、ゴキブリやねずみでるしww」「ねずみねえ」「東京にもねずみいるんだね」「いますよ地下街とかの店からこの間ねずみ走っているのみたもの」「そっか」「誰と住んでるの」「同居にです」「女性だよねもちろん」「いえ男性です」「はとこなんです一緒に住んでるの彼は役者志望で東京に出てきました」「へえ役者さん志望の人、じゃあかっこいいんだ」「結構かっこいいですね」「テレビにもこの間ちょい役で出てました」「へえすごいんだね」「まだまだ駆け出しでこれからですよ」ハンサムには目がない映子が身を乗り出して聞いていた。「あがっていきますか?」「お茶でもして酔いをさましたら」「そうだね、少しお邪魔しようか真美」「うん」「でもこんな時間にいいの?」「はい大丈夫です私とその彼ですからとくに今日は彼いないですからロケで」「そっかじゃあ一人なんだ」「はい」「散らかってますけどどうぞ」ギシッギシッ廊下を歩くとおくの部屋があり、電灯がともっていた。「ここのコタツ入っていてください」「わかった」
「今すぐコーヒーおもちします」「はい」真美と映子は古ぼけた布団生地で作ったコタツ布団にもぐってコーヒーが出てくるのをまった。「どうぞ」夜更けの4時にコーヒーをひとのうちですするのも悪くないかな・・・。
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