昨日の空
それより、何よりずっとジャズを習っているのに喫茶店で歌わせてくれないのが真美の今の一番の不満だった。「マスター、マスターって私の喫茶店のマスターと昔友だちだったんでしょ?」「うんまあね」「どのくらい深い知り合いなの?」「かれこれ8年間くらい交流があったよ、彼とは学生時代のみ友達でね」「そうだったんだ」「全然私知らなかったから」「俺のことなんか言ってた?」「あいつには気おつけろ深入りするなって」「深入りするなか・・・人をまるで狼みたいにいうんだな」「こう見えても紳士だけどな俺は」「マスターは一本取られたような笑いをみせた」「同じ年なんでしょ、うちの喫茶店のマスターと」「うん同じとしだよ」「それにしては家の喫茶店のマスターってふけてるよねえ」「ああ、あいつはもう子供がいるからな」「お父さんの貫禄ってやつじゃない?」「お父さんの貫禄かあ」「子供持つといやでもふけるからね」「大人にならなきゃ駄目だし」「そうだね、子供かあ俺もほしかったな」「前の女房との間には子供いないからね」「事情を話したとおりだ」「真美ちゃん作ろうか?」「何冗談言ってるんですか」「あはは」そういう話をしながらこの日も夜は更けていった。
「映子が眠い目をしながら真美に、もうそろそろ帰ろうか?」と伝えた、「もうこんな時間だ、話し込んじゃってもう4時周ってる」「帰らなきゃ、明日は何もないけど」
「明日何もないなら真美ちゃんデートしよ」マスターから誘われた、「えっ」「なんかほしいものかってあげるよ」「??」「誕生日だったでしょ?」「覚えていてくれたんだ誕生日」「覚えてるよちゃんと」
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