昨日の空
「わかったやってみる」これでも元演劇部だったし、お芝居には自信あるんだ。
「まずなにやればいいの?」「少しでも裕子に似せたいから暗めのファンデをこれからつけてほしい、それから形見分けした裕子ちゃんの服があるからそれを着て社長にあってほしい。「怖がって殺されたりしないよね」「大丈夫私たちがそばについてるから」
「まず後髪の色彼女の髪の色は栗色で茶色っぽかったから染めると大変だから市販のスプレーを買ってくるよ。」「うまくいくかな」「うまくいくようにしなきゃ」「うん」「そうだね」それからこれから一週間みっちり裕子ちゃんの口癖や癖を教えるから覚えて。「うんそれくらいなら私にもできそう」「倫子ちゃんの声はもうそっくりだからなんの心配もないけど」これから3週間のうちに倫子ちゃんは「裕子になるの」
「うんわかった」「やってみる」
喫茶店のマスターに事情を話したらまた馬鹿なことをやりだしたっていうような目で見られた。でも友情だからこれは絆だからこれは・・・・・・・・
で、3週間たった。倫子はどんどん裕子になっていった、「これなら社長も倫子ちゃんと裕子ちゃんの区別つかないよね」確か、彼は裕子ちゃんが死んだことは知っていたはずだから。まず手始めに非着信でその豪田吉彦っていう社長の携帯に電話してみた。
もちろん倫子が電話した、それも裕子そっくりの声で「私のこと覚えてますか?」
「君は誰だ?」「裕子です」「・・・・・・」「そんなはずはない」「彼女は事故で死んでるはずだ」「いいえ生きてます、だからこうして電話しているんです」「人をからかうのもいい加減にしたまえ」ガチャきられた。めげずにもう一回電話してみた「嘘じゃないです、嘘だと思うなら今日夜夜中の3時に家の前に立っていてください。必ず愛に行きます。」「そういって受話器を置いた」「うまくいくかな?」「どうかわかんないけど相手の声相当うわずってたわよ」「じゃあ今日の3時ね、裕子ちゃんの服着ていくんだよ」「うんわかった」
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