地下鉄
音楽も音も聞こえない所にいるせいか、思考が暗くなりがちになってしまう。
頭を振り、気分を変える。
ふと、目の前にぼんやり人の姿が見えた。
もしやと思い、近付いてみる。
「こんばんわ」
声をかけると、和服姿の老女が振り返った。
「こんばんわ。今日は良い満月ですね」
霧で月は見えなかったが、そうか。今日は満月なのか。
「そうですね。ところで行き先はお分かりですか? 分からなくなったのであれば、ご案内いたしますが」
「いえいえ、大丈夫ですよ。今は待ち時間なだけなんです」
明るく言って、老女は懐から一枚の切符を見せた。
頭を振り、気分を変える。
ふと、目の前にぼんやり人の姿が見えた。
もしやと思い、近付いてみる。
「こんばんわ」
声をかけると、和服姿の老女が振り返った。
「こんばんわ。今日は良い満月ですね」
霧で月は見えなかったが、そうか。今日は満月なのか。
「そうですね。ところで行き先はお分かりですか? 分からなくなったのであれば、ご案内いたしますが」
「いえいえ、大丈夫ですよ。今は待ち時間なだけなんです」
明るく言って、老女は懐から一枚の切符を見せた。