地下鉄
その存在は、奥の方にいた。
ずっと壁を見つめているのは、古い民族衣装に身を包んだ青年だ。
「何故…。何故こんな所に…」
「もしもし?」
声をかけると、ゆっくりと振り返る。
「ここがどこだか、お分かり…ですか?」
「ああ…。何となくは…」
「では、大人しく行ってくれますか?」
青年の目が僅かにつり上がった。
「ここへ来てしまったということは、そういうことなんですよ」
わたしは出来るだけ穏やかに声をかける。
ずっと壁を見つめているのは、古い民族衣装に身を包んだ青年だ。
「何故…。何故こんな所に…」
「もしもし?」
声をかけると、ゆっくりと振り返る。
「ここがどこだか、お分かり…ですか?」
「ああ…。何となくは…」
「では、大人しく行ってくれますか?」
青年の目が僅かにつり上がった。
「ここへ来てしまったということは、そういうことなんですよ」
わたしは出来るだけ穏やかに声をかける。