地下鉄
「申し訳ありませんが、あなたはすでに切符を持っていらしているはず。乗ってもらいますよ」

あたしは制服のポケットから笛を取り出した。

銀色の細い笛。

しかし彼は色を変えてきた。

どんどん濁った黒い色に染まり、形も歪んできた。

…こりゃ、マズイな。

よどみとなったモノは伸びたり縮んだりを繰り返していた。

しかし突如動きを止め、狙いをあたしに定めた。

あたしは飛び掛るよどみを避けながら、笛を吹いた。

ピィーーー!
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