地下鉄
するとよどみの底が、ぽっかり穴が空いた。

そこから何本もの黒く長い手が伸び、よどみを捕まえる。

『ぐおおおっ!』

そして恐るべき力で、よどみを穴の中へ引きずり込んでいく。

「残念ながら、ここまで来て乗車拒否はできないんですよ。―良き旅を」

そしてよどみは穴の中へ消えて、穴も消えた。

「ふぅ…」

今日の迷子は二人。

でもちゃんと送っているんだから、仕事はちゃんとこなせている。

…マカは毎年、こんなのを相手にしているのか。

破格のお給料とは言え、ちょっとなぁ…。


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