地下鉄
夜・バイト先にて
友人達とファミレス、カラオケ、ショッピングのハシゴをした後、わたしは家に帰らず、そのままバイト先に向かった。

終電近くの時刻。

すでに辺りは真っ暗で、霧が濃くなっていた。

今日は満月だというのに、朧月夜だ。

「まあキライじゃないけどね。キレイだし」

肩を鳴らし、駅から少し離れた地下鉄に降りる。

改札を通る前に、駅員室の扉をノックした。

「おお、ルカちゃん。いらっしゃい。今晩もよろしくね」

中から人の良さそうな中年男性が顔を出す。ここの駅員だ。

「はい、よろしくです。何か注意、ありますか?」

中に入ると、もう一人の駅員の人が頭を下げてきた。この人は新人だ。

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