桜の下で ~幕末純愛~
伍
―文久四年・元治元年―
新年がやってきた。
桜夜にとっては目を覆いたくなる事件もあったが、無事に新しい年を迎える事ができた。
皆、朝から呑み通しだ。
うぇ~っ。私はあと何回臭いで酔うんだろ…。
外はすっかり雪景色に変わっている。
いつもの様に縁側に座り、酔いを冷ます。
京都って、夏は暑いし冬は寒いし…火鉢じゃ足んないよ。
でもキレイだな…。まだ足跡付いてないし。
ってなると付けたくなるよねぇ。
桜夜は新雪に足跡をつけ始める。
つい夢中になって遊びだしていた。
「風邪ひきますよ。びしょ濡れじゃないですか」
沖田が現れる。
「………」
子供っぽいとこ見られちゃった。
足跡だらけの庭と濡れた着物を見て恥ずかしくなる。
沖田はそんな桜夜を見てクスッと笑う。
「初詣に行きましょう。早く着替えて下さい」
二人は初詣に出掛け、帰りはいつもと違う道を通り、河原へ寄り道をした。
「さっむい!ムリ、ムリ。帰ろーよっ」
何もない河原は風が吹き抜け、桜夜はとてもじゃないが居られない。
「景色を楽しむという事はできませんかね…」
そんな余裕のあるアナタはある意味異常ですっ。
屯所への帰り道、桜夜は思いがけない文字を目にした。
【池田屋】
池田屋…もしかしてここがあの池田屋?
総司が喀血するあの池田屋事件…。
桜夜の顔色がみるみるに青ざめていく。
そんな桜夜を見て沖田は驚いた。
「桜夜?どうしました?」
「寒いよ…」
沖田は桜夜を連れて急いで屯所へ戻った。
屯所へ戻った沖田は桜夜を布団へ寝かせる。
「大丈夫ですか?風邪ですかね」
池田屋を見たからなんて言えない…
「調子に乗って雪遊びし過ぎたかな…少し寝るね」
桜夜は布団を口元まで上げる。
「そうですね。ゆっくり寝てください」
沖田は部屋を後にした。
ダメじゃん、私。
あの時に決めたじゃない、強くなるって。
池田屋事件は変えられない事実。
そこで総司が倒れる事も…。
だったら、ちゃんと見届けなきゃ。
それが分かってて総司の側に居たいって思ったんだから。
桜夜は布団を頭から被った。
新年がやってきた。
桜夜にとっては目を覆いたくなる事件もあったが、無事に新しい年を迎える事ができた。
皆、朝から呑み通しだ。
うぇ~っ。私はあと何回臭いで酔うんだろ…。
外はすっかり雪景色に変わっている。
いつもの様に縁側に座り、酔いを冷ます。
京都って、夏は暑いし冬は寒いし…火鉢じゃ足んないよ。
でもキレイだな…。まだ足跡付いてないし。
ってなると付けたくなるよねぇ。
桜夜は新雪に足跡をつけ始める。
つい夢中になって遊びだしていた。
「風邪ひきますよ。びしょ濡れじゃないですか」
沖田が現れる。
「………」
子供っぽいとこ見られちゃった。
足跡だらけの庭と濡れた着物を見て恥ずかしくなる。
沖田はそんな桜夜を見てクスッと笑う。
「初詣に行きましょう。早く着替えて下さい」
二人は初詣に出掛け、帰りはいつもと違う道を通り、河原へ寄り道をした。
「さっむい!ムリ、ムリ。帰ろーよっ」
何もない河原は風が吹き抜け、桜夜はとてもじゃないが居られない。
「景色を楽しむという事はできませんかね…」
そんな余裕のあるアナタはある意味異常ですっ。
屯所への帰り道、桜夜は思いがけない文字を目にした。
【池田屋】
池田屋…もしかしてここがあの池田屋?
総司が喀血するあの池田屋事件…。
桜夜の顔色がみるみるに青ざめていく。
そんな桜夜を見て沖田は驚いた。
「桜夜?どうしました?」
「寒いよ…」
沖田は桜夜を連れて急いで屯所へ戻った。
屯所へ戻った沖田は桜夜を布団へ寝かせる。
「大丈夫ですか?風邪ですかね」
池田屋を見たからなんて言えない…
「調子に乗って雪遊びし過ぎたかな…少し寝るね」
桜夜は布団を口元まで上げる。
「そうですね。ゆっくり寝てください」
沖田は部屋を後にした。
ダメじゃん、私。
あの時に決めたじゃない、強くなるって。
池田屋事件は変えられない事実。
そこで総司が倒れる事も…。
だったら、ちゃんと見届けなきゃ。
それが分かってて総司の側に居たいって思ったんだから。
桜夜は布団を頭から被った。