桜の下で ~幕末純愛~
「ええ。ゴホッ 帰されてしまいました」
それだけ言うと桜夜に背を向けた。
まだ戦いたかったんだね。
こんな時、かける言葉が見つからない。
「冷やそうね」
桜夜が立ち上がろうとするとポツリと沖田が呟く。
「もう ゴホッ 握れない」
分かっていた筈の現実を改めて突き付けられた。
布団に入った沖田の横に寝転ぶと後ろから桜夜は沖田を抱き締めた。
「総司が戦いたいなら一緒に治そう。出来ないかもしれない。けど、出来ないって決めつけないよ。タイムスリップなんてあり得ない事、私達はしたんだよ?」
まだあの家に行く時じゃないね。
総司はこんなに戦いたがってる。
こんな言葉は気休め…。きっと総司も分かってる。
「忘れるところでしたよ。ゴホ ゴホッ 笑っていましょうね」
沖田はその胸元にある桜夜の手をギュッと握り返した。
その頃、鎮撫隊は甲州へ向けて進んでいた。
五日、甲州勝沼に到着。
しかし既に新政府軍が戦闘を開始していた。
近藤は土方を援軍要請のため江戸へ向かわせた。
翌六日に近藤は大久保の名で甲陽鎮撫隊は敵対する者ではないと使者を出すも、新政府軍は攻撃。
土方は間に合わず、たったの二時間で江戸方面への敗走となった。
八日、吉野で近藤は土方と再会する。
八王子までの引き上げが決まった。
しかし永倉、原田は江戸へ戻り、隊士を募り立て直そうと提案。
近藤、土方もそれを認め、江戸へ引き上げる事となった。
近藤は肩の傷が悪化。永倉、原田に隊を任せ、土方と共に先に江戸へ向かった。
千駄ヶ谷で療養中の沖田の病状は一向によくはならず、むしろ悪化の一途であった。
桜夜は諦めず、良いと言われる薬があれば買いに走り、体に良い水があると聞けば汲みに走った。
「桜夜。何も ゴホ 貴女がそこまでしなくても ゴホ ゴホッ いいですよ」
沖田はそんな桜夜を見ては少し胸を痛めた。
三月に入り、沖田はまた薬を買いに行くと言う桜夜の手を掴み、引き留めた。
「もう、いいです。ゴホッ これ以上は…ゴホ ゴホッ」
「ダメだよ」
諦めちゃ…認めちゃダメだよ…。
「おいで」
沖田が桜夜を布団の中に呼ぶ。
あ…またこの言い方…。
それだけ言うと桜夜に背を向けた。
まだ戦いたかったんだね。
こんな時、かける言葉が見つからない。
「冷やそうね」
桜夜が立ち上がろうとするとポツリと沖田が呟く。
「もう ゴホッ 握れない」
分かっていた筈の現実を改めて突き付けられた。
布団に入った沖田の横に寝転ぶと後ろから桜夜は沖田を抱き締めた。
「総司が戦いたいなら一緒に治そう。出来ないかもしれない。けど、出来ないって決めつけないよ。タイムスリップなんてあり得ない事、私達はしたんだよ?」
まだあの家に行く時じゃないね。
総司はこんなに戦いたがってる。
こんな言葉は気休め…。きっと総司も分かってる。
「忘れるところでしたよ。ゴホ ゴホッ 笑っていましょうね」
沖田はその胸元にある桜夜の手をギュッと握り返した。
その頃、鎮撫隊は甲州へ向けて進んでいた。
五日、甲州勝沼に到着。
しかし既に新政府軍が戦闘を開始していた。
近藤は土方を援軍要請のため江戸へ向かわせた。
翌六日に近藤は大久保の名で甲陽鎮撫隊は敵対する者ではないと使者を出すも、新政府軍は攻撃。
土方は間に合わず、たったの二時間で江戸方面への敗走となった。
八日、吉野で近藤は土方と再会する。
八王子までの引き上げが決まった。
しかし永倉、原田は江戸へ戻り、隊士を募り立て直そうと提案。
近藤、土方もそれを認め、江戸へ引き上げる事となった。
近藤は肩の傷が悪化。永倉、原田に隊を任せ、土方と共に先に江戸へ向かった。
千駄ヶ谷で療養中の沖田の病状は一向によくはならず、むしろ悪化の一途であった。
桜夜は諦めず、良いと言われる薬があれば買いに走り、体に良い水があると聞けば汲みに走った。
「桜夜。何も ゴホ 貴女がそこまでしなくても ゴホ ゴホッ いいですよ」
沖田はそんな桜夜を見ては少し胸を痛めた。
三月に入り、沖田はまた薬を買いに行くと言う桜夜の手を掴み、引き留めた。
「もう、いいです。ゴホッ これ以上は…ゴホ ゴホッ」
「ダメだよ」
諦めちゃ…認めちゃダメだよ…。
「おいで」
沖田が桜夜を布団の中に呼ぶ。
あ…またこの言い方…。