桜の下で ~幕末純愛~
翌日、剣道部の先生に竹刀を売っている場所を聞き、武具店へやってきた。

うっわぁ。わっかんない。

竹刀を見つけたものの、どれにしていいものか、桜夜には全くわからない。

店員さんに聞くしかないよね。

桜夜は店員に聞き、竹刀を買った。

武具店を出ると、隣が手芸店だった事に気付く。

武具の隣に手芸…何かヘン。

ちょっと寄ってみる?

そのままフラリと手芸店へ入っていく。

入ったはいいけど、私、別に編み物とかしないんだった。

ブラブラと店内を一周すると、ふと手芸糸が目についた。

あ、これってミサンガ編めるやつだ。切れたら願いが叶うんだよね。

…願いが叶う…

歴史は変わらないんだろうけど…沖田さん…生きてほしい…な。

そう思うと手芸糸を手にしていた。

買っちゃった。竹刀の下の方に付けたら邪魔にはならないよね?

桜夜は帰ると沖田に見つからない様に急いで部屋に竹刀を隠した。

夕飯も片付けも急いで済ませ部屋にこもる。

ネットでミサンガの編み方を調べ、作り始めた。

空と海の【青】

陸の【茶色】

樹の【緑】

桜の【桃色】

四色をシンプルに斜めに編んでいった。

ピンクが入ったらヘンかな。ん~、ヘンかも。

でも、ピンクは外せない色だったんだよね、何となく。

コツを掴むと案外早く編みあがった。

竹刀の邪魔にならないところを選んでミサンガを結んだ。

―沖田さんが長く生きていられますように―

さ、渡しにいこう。沖田さんが嫌がったら外せばいいよね。

そう思いながら竹刀を手に沖田の部屋へ向かう。

「沖田さん。いいですか?」

竹刀を背中に隠して声をかけた。

「桜夜さん?どうしたのですか?」

沖田が顔を出し、少し不満げな表情を見せた。

あら?不機嫌?

「あの、沖田さん?」

「総司です」

「え?」

「昨日約束したばかりですよ。総司と呼んでください」

―あ、忘れてた。ってか、約束してないんですけどぉ。

ま、いいや、スルーしとこ。
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