桜の下で ~幕末純愛~
弐
沖田がタイムスリップをしてから三ヶ月が経とうとしていた。
幕末に戻る手掛かりもなく、沖田もすっかり生活に慣れてしまった。
「そぉぉぉ~じぃぃぃ~」
桜夜が沖田を探す。【総司】と呼ぶ事にも慣れ、沖田に対し、敬語を使う事もなくなった。
「私のプリン、食べたでしょ。返せ~っ」
「何の事です?プリンに桜夜の名は書いてなかったですよ」
ソファーに座り、プリンを食べながら沖田は笑う。
くっそぉ。またやられたっ。
「暑くなってきましたね」
話をそらしたなっ。…でもそっか、もう夏だ。総司が来て三ヶ月か。
「もうすぐ夏休みなんだ。バイトもするけど、長い休みだからどっか行く?」
「何処か、とは遠くにという事ですか?」
「うん。お盆時期ならお母さんも休みだろうし、一日はお父さんのお墓参りだろうけど…それが終われば三人で旅行とか行けると思うんだ。行ってみたいところある?」
沖田はしばらく考えてから
「京が見てみたいです」
と答えた。
京―京都か…。やっぱり元の時代に帰りたいんだよね。
総司と一緒にいたいと思っちゃいけないよね。
「そっか、京都か。夕飯の時にでもお母さんに相談してみようね」
「ええ。行けるといいですね。はい。半分あげますよ」
そう言って沖田は半分食べたプリンを桜夜に渡すと、竹刀を持って庭に出ていった。
あげるって…私のプリンですが?
残りのプリンを食べながら庭の沖田に声をかける。
「あんま無理すると暑くて倒れるよ」
沖田はニヤっと笑い竹刀を振りながら答えた。
「桜夜じゃないんですから、この位の暑さにはまけませんよ」
竹刀の端でミサンガが揺れていた。
―――――
その夜、桜夜と沖田は旅行の事を美沙子に相談し、美沙子も快諾した。
桜夜はツアーを探し、お盆時期に京都へのツアーに申し込んだ。
そして旅行まで二週間をきった頃。
「桜夜、総司くん、悪いんだけど旅行、二人で行ってくれない?仕事が入っちゃったのよ」
「はぁ~?」
お母さん?若い男女が二人きりで?
「いいですよ」
「総司!?ソッコーで返事をするなっ!」
結局、京都旅行は桜夜と沖田の二人で行く事となった。
幕末に戻る手掛かりもなく、沖田もすっかり生活に慣れてしまった。
「そぉぉぉ~じぃぃぃ~」
桜夜が沖田を探す。【総司】と呼ぶ事にも慣れ、沖田に対し、敬語を使う事もなくなった。
「私のプリン、食べたでしょ。返せ~っ」
「何の事です?プリンに桜夜の名は書いてなかったですよ」
ソファーに座り、プリンを食べながら沖田は笑う。
くっそぉ。またやられたっ。
「暑くなってきましたね」
話をそらしたなっ。…でもそっか、もう夏だ。総司が来て三ヶ月か。
「もうすぐ夏休みなんだ。バイトもするけど、長い休みだからどっか行く?」
「何処か、とは遠くにという事ですか?」
「うん。お盆時期ならお母さんも休みだろうし、一日はお父さんのお墓参りだろうけど…それが終われば三人で旅行とか行けると思うんだ。行ってみたいところある?」
沖田はしばらく考えてから
「京が見てみたいです」
と答えた。
京―京都か…。やっぱり元の時代に帰りたいんだよね。
総司と一緒にいたいと思っちゃいけないよね。
「そっか、京都か。夕飯の時にでもお母さんに相談してみようね」
「ええ。行けるといいですね。はい。半分あげますよ」
そう言って沖田は半分食べたプリンを桜夜に渡すと、竹刀を持って庭に出ていった。
あげるって…私のプリンですが?
残りのプリンを食べながら庭の沖田に声をかける。
「あんま無理すると暑くて倒れるよ」
沖田はニヤっと笑い竹刀を振りながら答えた。
「桜夜じゃないんですから、この位の暑さにはまけませんよ」
竹刀の端でミサンガが揺れていた。
―――――
その夜、桜夜と沖田は旅行の事を美沙子に相談し、美沙子も快諾した。
桜夜はツアーを探し、お盆時期に京都へのツアーに申し込んだ。
そして旅行まで二週間をきった頃。
「桜夜、総司くん、悪いんだけど旅行、二人で行ってくれない?仕事が入っちゃったのよ」
「はぁ~?」
お母さん?若い男女が二人きりで?
「いいですよ」
「総司!?ソッコーで返事をするなっ!」
結局、京都旅行は桜夜と沖田の二人で行く事となった。