加害者な君へ、ありがとう
あれから四日間が経っても
芽依が学校に来ることはなかった
「えっ…」


私は耳を疑った

いつも通りの通学路を通って
学校に登校しまず一番始めに教室へむかうと

自分の教室中が騒がしかった。


なんの騒ぎかと、
クラスメイトに尋ねてみると
予想もしなかった答えが返ってきた。


「あぁ矢塚さんだよ、
あの人また四日間ずっと続けて
休んでんじゃん?
やっぱり変わらずウザイよね、
って騒いでんのっ」


何だか背筋がぞっとした

芽依が?
優しくて礼儀正しいあの芽依が?


尚更耳を疑った



「…芽依が?
またって前回もあったの?」


「あっ風間ちゃん知らないんだっけっ
学校違かったもんね
あの人小学生の頃
いじめられてたんだよっ」







「えっ…いじめられてた…?嘘」



「嘘なんかじゃないよっ
小学生の頃髪の毛金髪で
何もしてないのによく睨んできたり
先生に反発したり兎に角ウザイって皆嫌ってたんだ
風間ちゃんも気を付けてね!
よく一緒にいるしこのままだったら
風間ちゃんも目つけられて
いじめられる可能性もあるからねっ
それにそのいじめの拠点のリーダーがこのクラスにいるし…」


声のトーンを小さくし
一点を見つめる

その先には
数人で芽依の悪口を言い
嘲笑っている子達が視界に入った

「マジキモくない?」

「うんうん、あの睨み方は半端ないって」

「ってか矢塚さん、友達いんの?」

「はははっ居ないっしょ?」

「あっ居るよっほらあの子、風間さんっ」



ビクッと体が震えたような感覚が走る

入学早々いじめられる?
冗談じゃないっ


私は自分しか見えていなかった。
いや、見ることが出来なかった。

信じられるまでは、
受け止められるまでは。

誰もが敵に見えてしまっていた。






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