私vs国連
『幸せ』の瞬間まで
「おばちゃん!」
弾むようなその明るい声の持ち主に、女は答える。
「なあに?メイちゃん」
「あのね?お菓子、いっぱいある?お友達も誘っていい?」
「今日は村の人全員を誘って、パーティをしましょう。おばちゃん、みんなの分のスープも作って来たのよ。お菓子はメイちゃんだけ、ひとりじめしちゃっていいのよ」
「やったぁ」
嬉しそうに笑う無邪気な少女の柔らかい髪を撫でながら、女は優しくメイを見た。
「奥様……本当にいつもいつも、申し訳ありません。ありがとうございます」
メイの母親が、深々と頭を下げながら言った。
「本当に、奥様は……素晴らしい方です。みんな喜びます」
「わたし、メイちゃんが本当に可愛いのよ……今日はメイちゃんの特別な日。みんなで『お祝い』をしましょう」
「……今、みんなを呼んで来ますね!」
幸せの涙を流して、メイの母親はいそいそと出掛けて行った。
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