私vs国連
断末魔の叫びが聞こえる。
喉を掻き毟りながら苦しむ村人の側に佇むのは、”英雄”と呼ばれる女だった。
女の隣には、泣きながら母親を呼ぶ6歳の少女、メイ。
「おかあさーん!おかあさーん!!」
「メイちゃん……」
女は少女の肩をそっと抱き寄せた。
「おばちゃん……みんな、みんなどうしたの?おばちゃんのスープを飲んで、みんな、みんなおかしくなっちゃったよ……おかあさん、もう動かない。怖いよ、怖いよ……」
「メイちゃん、あなたはこれから『幸せ』を見つけるのよ」
女は柔らかく微笑むと、少女の瞳を覗き込んだ。
「メイちゃん、あなたは『自由』になったの」
「自由?」
大きな瞳から溢れ出る涙をそのままに、少女は隣に佇む女をそっと見つめた。
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