私vs国連
「奥様、わたし……いえ、この村に住む人々全員が、奥様とご主人に感謝しております」
メイの母親は優しく、そして労わるように女の足元にひざまずいた。
「内戦の舞台となり、貧窮に困っていたこの村に、奥様のご主人……国連の最高経営者である奥様のご主人は戦争廃止に力を尽くし、この村に多額の寄付をして村の復興に力を注いでくださいました。学校も建て、貧しい子供たちは『学び』の喜びを知ることも出来ました……奥様とご主人は、私達に『本当の幸せ』を教えてくれたのです!」
「……」
女の瞳がより一層大きく揺れた後、熱い一粒の滴が光りながら頬を滑り落ちた。
女の涙を見たメイの母親は女を抱きしめ、悲しそうに言った。
「奥様、どうか……泣かないでください。私は、私達村人全員は、奥様とご主人にも『幸せ』になっていただきたいのです!」
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