私vs国連
誘拐【6年前】
「……ふざけるな!そんなこと出来る訳が無いじゃないか!!」
声を荒げながら、夫は叫んだ。
娘の誘拐―――。
それは国連加盟国に歴訪した時、ニューヨークの街で起こった。
空の青い青い、晴れた日のことだった。
連日のように続くパーティ。
外交官の妻である私はパーティ同席のため、あの日もベビーシッターに娘のメイを預けていた。
娘が居なくなったとベビーシッターから連絡が入り夫と急いで家に帰った時、待ち構えていたようにかかってきた電話。
「警告する―――」
誘拐犯は淡々とそう言うと、『戦争行為を中断するように』呼びかける夫に対して『意義申し立て』を要求した。
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