私vs国連
娘を失いながらも”世界の平和”を貫いた夫は、いや、私達夫婦は『英雄』として連日テレビや雑誌に取り上げられた。
娘の死がむごければむごいほど……
心の傷が深ければ深いほど……
そしてそれを晒せば晒すほどに
世界中の人々が私達夫婦を尊敬し、敬愛した。
『お嬢さんの死を無駄にはしない!』
『平和な世界を作ろう!』
『これからも一緒に頑張ろう!』
世界の指導者や政府高官は涙ぐみながら手を差し出す。
『ありがとうございます!』
そう言って堅く握手を交わす、夫。
今日も私はまた、空を見上げる。
こんなに空が青い日は……
何もかもが『嘘』のように『夢』のように、感じられる。
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