覚めない微熱だけ、もてあましながら
「そ、そうなんだ……」

苦笑いする麻里と愛子。

「私もまことのおかげでだいぶ辛党になってきたよ。ねぇ、愛子、食べてみて」

みかは、真っ赤に染まったピザを指差した。

「駄目駄目! 絶対無理! 少しでも辛いと無理なのに……そんな……タバスコかけすぎだよ」

「俺は全然平気。じゃあ、全部いただきます」

愛子は自分が頼んだアンチョビのパスタの中に、手に持ったままのフォークを突っ込みながらまことを見ていた。

「もしかしてまこと君、お腹空いてるの?」

「うん……。ちょっとだけ」

「何だ~そうだったの~」

麻里は余計な小芝居をしようと企んでいた。

「じゃあ、私のパスタ少し食べる?」

「え、いいの?」

「うん」

麻里はウェイターを呼び、取り皿を四枚頼んだ。一応、四枚だ。



ウェイターが運んできた皿に、麻里は自分のカルボナーラを少し分けた。

一応、四人分取り分ける。そして少量のタバスコを四皿それぞれに振りかけた。

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