覚めない微熱だけ、もてあましながら
「ふぁ~あ……」

みかが大きくあくびをした。

「何か眠くなってきた……」

「姉貴、帰ってもいいよ」

「そう? じゃあ帰ろうかな」

「あ、私も帰る」

と、麻里が続く。

愛子も二人につられて帰り支度をした。

三人はそれぞれ会計を済ませ店を出る。

みかと麻里はさっさと行ってしまったが、愛子はなぜか惜しい気持ちがあり、後ろを振り返る。

しかし振り返ったところでまことがいるはずもない。

「愛子! 早くー!」

遠くから、みかに呼ばれた。

「うん!」

愛子は、みかと麻里のもとへ走っていく。

クリスマス間近の色とりどりの街中を抜け、それぞれが家路へと向かった。





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